文獻と遺物の境界
豆瓣
中國出土簡牘史料の生態的研究
籾山明 / 佐藤信
简介
<内容>
これまでの中国出土簡牘研究は、文字の釈読や語句の解釈に専念するあまり、簡牘(木簡・竹簡)の出土遺物としての側面を軽視してきた感がある。本書はこうした傾向に対する批判に立って、簡牘が文献と遺物の境界に位置する史料であるとの視点から、研究を新たなステージに引き上げようとする試みである。
具体的には、簡牘と出土遺構の関連性、文書の書き手と行政実務、作製から再利用・廃棄に至る簡牘のライフサイクル、墓中に副葬される簡牘の意味、および紙への移行の実態などの問題が、それぞれの史料に即して実証的に分析される。そこに見えてくるのは、多様な形態をもち、移動し、生成・消滅する動的な史料としての出土簡牘の姿であり、また担い手となる古代人の行動と人間関係である。この点において本書は、社会史的な関心にも十分に応える内容となっている。中国史研究者のみならず、日本木簡研究や史料論に関心をもつ方々に、ぜひ一読をお願いしたい。(編者)
目录
前 言
第Ⅰ 部 調査篇
中村威也 額済納調査報告記
髙村武幸 K七一〇遺跡の性格について 「居延県城と漢代河西社会」補遺
片野竜太郎 漢代辺郡の都尉府と防衛線 長城防衛線遺構の基礎的研究
第Ⅱ 部 研究篇
籾山 明 序論 出土簡牘史料の生態的研究に向けて
李均明(青木俊介訳) 簡牘文書の種類と遺址諸要素の関係
邢義田(中村威也訳) 漢代簡牘文書における正本・副本・草稿と署名の問題
青木俊介 候官における簿籍の保存と廃棄 A 8 遺址文書庫・事務区画出土簡牘の状況を手がかりに
髙村武幸 簡牘の再利用― 居延漢簡を中心に―
鈴木直美 馬王堆三号墓出土簡にみる遣策作成過程と目的
佐藤 信 日本古代文書木簡の機能と廃棄
籾山 明 簡牘・縑帛・紙 中国古代における書写材料の変遷
劉増貴(鈴木直美訳) 下層の歴史と歴史の下層 台湾における「中国社会史」研究の回顧
陶安あんど 書写材料とモノの狭間 日本木簡学との比較を通じてみた中国簡牘学のジレンマ
後 記